歯科・審美歯科(東京都葛飾区)

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口腔機能低下症(低舌圧)

こんにちは、メンテナンス担当の歯科衛生士です。

いつまでも元気に食べて・笑って・楽しくおしゃべりするために、「口腔機能低下症」を
予防して「お口の衰え」をくいとめましょう。

今回は低舌圧についてお話します。

低舌圧の問題点は舌の力が弱いことです。その事を「低舌圧(ていぜつあつ)」といい、食事の時間が長くなったり、食べる、飲み込む、話す機能の発達障害の原因になります。 いびき、睡眠時無呼吸症候群、口唇閉鎖不全症(お口ポカン)のほか、栄養摂取の問題から身体発育遅延の原因にもなります。

お口ぽかん

舌圧とは
舌が上あごに接触する力で、その強弱は圧力の単位kPa(キロパスカル)で表します。舌は筋肉でできた組織ですから、歩かなければ足の筋肉が弱って歩けなくなるのと同様に舌をあまり動かさなくても食べられる軟らかいものや、ツルッと飲み込めるような食事ばかりとっていると舌圧は低下します。

舌圧

舌は食べるときに、どのような働きをするでしょうか?
食べ物を口に入れたとき、歯と舌はお餅つきのような絶妙な動きをします。「こね手」である舌が食べ物を奥歯の上に乗せ「杵(きね)」である奥歯がかみ砕いたりすりつぶしたりします。砕かれた食べ物を舌が唾液と混ぜ合わせながらまた奥歯の上に押し上げてまた砕く。これをお餅つきのように何度もくり返すのです。その最中には砕かれた食べ物が頬の側に落ちることがあります、このときも舌と頬の筋肉とで食べ物を奥歯に戻します。小さく噛み砕かれてすりつぶされた食べ物は、舌が飲み込みやすい形状にまとめてから飲み込みます。このように食べ物を口に入れてから飲み込むまでのすべての作業が舌に関わっています。

餅つき

舌圧が弱いと、どのような問題がおきるのでしょうか?
舌圧が弱いと舌の運動機能が低下するので「噛んで飲み込む」という一連の動きに支障が出ます。一気に食道に送り込めなくなるので上あごや喉の奥に食べ物が残ることがあり、これが食道ではなく気管に入ってしまうとむせたり・誤嚥性肺炎の原因にもなったりします。

誤嚥性肺炎

「噛んで飲み込む」ことが不十分であれば栄養摂取の低下となり、それが身体的虚弱につながって要介護状態になる可能性もあります。また、食べこぼしたり、滑舌が悪くなったりすることもあります。一見些細なことのように思えますが、積み重なると、人と話したり一緒に食事をしたりするのがいやになり、人とのつながりが少なくなっていきます。こうして社会とのつながりが低下すると、精神的にも落ち込んできて、ますます引きこもりがちになるという負の連鎖を起こし最終的には身体的虚弱につながります。これまで舌圧低下の大きな原因は加齢と考えられていましたが、若い人のなかにも舌圧が30kPa未満で「むせる」「飲み込みにくい」という自覚症状のある人がいるというデータもあるようです。現代の食生活から考えると舌圧の低下は高齢者だけの問題ではなくなっているといっていいでしょう。

むせる

では、低下した舌圧を改善するには?
日常生活でできる対処法は、まず、しっかりしたものを食べることです。硬いものを食べると噛む回数が増えて舌の動きも活発になるので舌圧は鍛えられていきます。
舌圧が向上すれば咀嚼力も向上してオーラルフレイルや身体的虚弱の予防につながります。
大事なのは舌をしっかり使うことです。

オーラルフレイル

舌も筋肉ですから負荷をかけたり動かしたりすることで運動機能が向上します。また、舌で押しつぶしたりゆるめたりの動作をくり返すことで舌圧を鍛える用具も市販されています。カラオケやコーラスで歌ったりおしゃべりしたりすることも舌を鍛えます。こうしたことは人とのつながりや社会とのつながりを維持することにもなります。

舌の体操No2  

ぺこぱんだ
      
低下した舌圧はどうしたらわかるの?
噛むことや飲み込みの機能の低下を自覚されて心配な場合は舌圧を歯科医院で計測できます。舌圧の低下から起こる症状に早く気づけば、早く対処でき改善も早くなります。

対策

自覚症状としては「お茶や汁物などの液体でむせる」「飲み込んだ後に食べ物が口の中に残る」「舌苔(ぜったい)が白っぽくなる(茶色や黒のこともあります)」などが挙げられます。
ただし残念ながら舌圧測定器が、どの歯科医院でもできるわけではありませんので確認してからの受診をお勧めします。

次回は、咀嚼機能低下についてお話します。

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