口腔機能低下症(口腔不潔)
こんにちは、メンテナンス担当の歯科衛生士です。
いつまでも元気に食べて・笑って・楽しくおしゃべりするために、「口腔機能低下症」を
予防して「お口の衰え」をくいとめましょう。
今回は、口腔不潔(口腔衛生状態不良)についてお話します。
* 口腔不潔(口腔衛生状態)
舌が白くなる原因のほとんどは「舌苔(ぜったい)」です。舌苔とは、舌表面に付着した上皮から剥れた垢のことを指します。歯に付着する歯垢と似ており、細菌が潜んでいることもあります。舌苔を放置した場合、味覚異常や舌炎の原因になるといわれています。
口腔の衛生状態は、Tongue Coating Index(TCI)を用いて、舌苔の付着程度を評価する。舌表面を9分割し、それぞれのエリアに対して舌苔の付着程度を3段階(スコア0、1、2)で評価する。合計スコアが9点以上(TCIが50%以上)で口腔不潔と評価する。
舌苔は舌表面に白色または黄褐色のこけ状に見えるものである。舌苔の付着原因は、喫煙、薬の副作用による唾液分泌低下、免疫力低下による口腔内常在細菌叢の変化などさまざまであるが、特に注目すべきは、舌の運動機能低下に伴う自浄作用の低下を疑うことである。
* Tongue Coating Index(TCI)法とは、視診によって舌苔の付着程度を評価する指標。舌表面を9 分割してそれぞれのエリアについて、0、1、2にて評価し、平均値を出す。口腔機能低下症の診断基準での口腔不潔(口腔衛生状態不良)の基準値はTCIが50%以上となっている。
舌苔(ぜったい)の付着度を見ることによって、お口の中の清潔度を検査します。舌苔には食べカスや汚れ、お口の中の細菌が溜まっています。口臭の原因になるだけでなく、舌苔が厚くなると熱さや味を感じにくくなります。
* 舌苔の原因には、以下が挙げられます。
• 食事の際、あまり咀嚼(そしゃく)をしない
• 食事の際、あまり舌を動かさない
口のなかの粘膜は、絶えず新陳代謝を繰り返しています。通常、食事するときは咀嚼(そしゃく)して舌をフルに活動させていますが、柔らかいものを食べたりしてあまり咀嚼(そしゃく)せず、舌を動かさないで食事を摂ると付着しやすくなります。ほかに唾液分泌量の低下、口呼吸による口腔乾燥、緊張性のストレスが原因となったり、全身疾患(糖尿病・シェーグレン症候群・十二指腸潰瘍)の副症状として生じたりするといわれています。
近年、高齢者の孤立化(社会的フレイル)がみられるため、人との会話が減ることで舌を動かさないために舌苔が付着しやすい環境になります 。
最近の研究では、舌苔の付着範囲と口内のアセトアルデヒド濃度が互いに比例関係にあることがわかってきました 。口のなかのアセトアルデヒドは、長期間暴露されていると口腔がんのリスクになるといわれています。口腔がんは摂食嚥下障害を合併しやすい病気であるため予防が大切です。
口腔衛生状態の不良は,誤嚥性肺炎の原因となる。高齢者の口腔衛生状態の不良の原因は,単に口腔清掃の 手法や頻度,時間だけの問題ではない。患者のみならず家族や介助者に対しても,清掃方法の指導だけでなく,口 腔内の衛生状態を良好に保つことが良好な生命予後につながることを継続的に説明する必要がある。その上で,口 腔乾燥がある場合には口腔保湿剤を併用した口腔清掃方法の指導を行う。また,その他の口腔清掃用具の適切な 選択も重要となる。身体の麻痺等により手指が不自由な場合は,柄を太くする等の清掃用具の工夫などが必要である。また,口腔乾燥には服用している薬剤が関連することも多いため,特に多剤服用中の高齢者では,必要に応じて薬剤投与状況の確認を主治医や薬剤師に依頼する。
お口の中を清潔に保つことで美味しくお食事をとることが
できます。舌の味蕾が味覚をつかさどる細胞なのですが、舌が汚れていると味覚が低下してしまいます。歯磨きはもちろんのこと、舌の上を清潔にすることで口臭対策に加え美味しくお食事を取れるようになるのでとても重要です。
* 舌のお掃除をしましょう
・舌ブラシの使い方
一ヶ月に一度は交換しましょう。
水で湿らせて舌を思い切り前に出し、舌の表面を奥から手前というような動きで 掻き出して下さい。(強い力で磨かない)
一日最低一回は歯磨き時に一緒に行うと良いでしょう。
嘔吐反射がある方は思いきり舌を前に出して行って下さい。
お口の中が乾燥している方は保湿ジェルを舌ブラシにつけると良いですよ。
※磨きすぎ注意しましょう。
* お口の中のケア
1.食前や朝起きてすぐ舌ケアをする。
2.出来るだけこまめに水分を取る。
3.一日一回舌ブラシで舌苔を取る。
*かかりつけ医で自分に合った歯ブラシ・舌ブラシを見てもらいましょう。
次回は、咬合力低下についてお話します。
トピックス一覧のページへ